PCBはいつから使用禁止に?期限が迫る低濃度PCB廃棄物の処理はお早めに!
PCB(ポリ塩化ビフェニル)は、電気絶縁性や不燃性、安定性に優れた化学物質として、かつては電気機器などに幅広く使用されていました。しかしPCBによる健康被害が社会問題となり、日本ではPCBの製造・輸入・使用が原則禁止となっています。
それではPCBの使用禁止や、PCBを含有する電気機器の製造禁止は、いつから始まったのでしょうか。
本記事では、PCBの使用禁止の経緯について、低濃度PCB廃棄物の処理期限とともに詳しく解説します。PCBを含む電気機器などを保管している事業者の方は、ぜひ参考にしてください。
PCBはいつから使用禁止に?PCB規制の経緯
PCBとは人工的に作られた化学物質で、不燃性、電気絶縁性が高いことから電気機器などさまざまな用途で使用されてきました。しかし1968年(昭和43年)に発生したカネミ油症事件を契機に人体への悪影響が明らかになり、現在、PCBは製造・輸入ともに禁止されています。
ここでは、PCBが禁止された経緯について詳しく説明します。
使用禁止の契機は「カネミ油症事件」
PCBが禁止された背景に、1968年(昭和43年)に発生した「カネミ油症事件」があります。カネミ油症事件は、食用のこめ油に意図せずPCBが混入したことが原因で起こった食中毒事件です。汚染されたこめ油を使用した人々はさまざまな悪影響を受けました。
カネミ油症事件の被害者は1万3,000人以上とも。その影響はPCBを摂取した本人だけでなく胎児にまで及び、世間に衝撃を与えました。
PCBによる食中毒事件が起こったのは、世界中で日本と台湾のみです。カネミ油症事件は、世界ではじめてのPCB食中毒事件だったことから、日本だけでなく世界から注目されました。
これをきっかけにPCBがもつ毒性が危険視されることとなり、日本では1972年(昭和47年)に生産・輸入が禁止されています。
世界規模でPCBの規制がスタート
カネミ油症事件をきっかけに、日本だけでなく世界でもPCBの規制が進みました。PCBは分解されにくい特徴があり、環境に放出されると長い時間をかけて長距離を移動します。PCBをまったく使用していない北極圏などの地域の汚染も報告され、国際的な規制の対象となったのです。
2004年(平成16年)には、「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」(POPs 条約)が採択されました。残留性有機汚染物質とは、分解されにくく、生物の体内に蓄積されやすい、人や生態系に有害な物質のこと。PCB以外にも物質が指定されています。
POPs 条約にて、2025年(令和7年)までの機器内におけるPCBの使用の廃絶、2028年(令和10年)までのPCBの適正な管理が定められました。
2004年(平成16年)に、POPs 条約締約国数が50に達し、条約が発効されて正式な国際法となっています。
保管や処分の規制を定めた「PCB特別措置法」制定
PCBの製造・使用は1972年(昭和47年)に禁止となりましたが、PCBの処理自体はすぐには進みませんでした。PCB処理施設の設置への住民の理解を得ることが難しかったためです。30年近く、ほとんど処理が行われない状態が続きました。
一方で、PCB廃棄物の保管が長期化するにつれて、廃棄物の紛失や、老朽化によるPCB漏洩のリスクへの懸念も高まります。そこで、2001年(平成13年)に「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」(PCB特別措置法)が施行され、適正な処理が進められるようになりました。
PCB特別措置法では、PCB廃棄物を所有する事業者は、保管状況の届け出と期間内に適正に処分することを義務付けられています。PCB特別措置法の施行によって国の監督のもと、全国5箇所にPCB廃棄物処理施設が設置されました。
期限の延長と処理計画の変更
PCB特別措置法にて、PCB廃棄物の処理期限は、高濃度PCB廃棄物・低濃度PCB廃棄物ともに、2016年(平成28年)7月までと規定されました。
しかしこの規定後に、微量のPCBに汚染された電気機器が大量に存在することが明らかとなっています。さらにPCBの処理が想定よりも遅れている状態でもありました。
このような状況を受けて、期限内の処理は難しいと判断され、PCB廃棄物の処理期限は2027年(令和9年)3月末までに延長されています。
その後の2014年(平成26年)には、ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基本計画の変更が行われました。これにより、高濃度PCB廃棄物の処理期限は、5つのPCB処理事業所のエリアごとに定められることとなったのです。2024年(令和6年)4月現在、高濃度PCB廃棄物の処理は終了しています。
処理期限迫る!低濃度PCB廃棄物処理のご相談はオオノ開發へ
低濃度PCB廃棄物の処理期限は、2027年(令和9年)3月31日までです。期限まで残り3年を切っています。低濃度PCB廃棄物を所有している方は、なるべく早めの処理が重要です。期間内での処理がされなかった場合、PCB廃棄物の所有者は定められた方法で保管し続けなければいけません。
低濃度PCB廃棄物には、古い変圧器やコンデンサなどさまざまなものがあります。なかには、所有している機器が低濃度PCB廃棄物の可能性はあるがわからないということもあるでしょう。低濃度PCB廃棄物の可能性がある場合は、検査機関に調査を依頼して、PCBの濃度を確認した上での適切な処分が必要です。
オオノ開發株式会社では、PCB含有量の分析も行なっています。所有されている機器にPCBが使われているか不明な場合も、ワンストップシステムで分析から処分完了まで低濃度PCB廃棄物の処理計画が可能です。
Zoomを活用したオンライン相談も承っています。「話を直接して相談したい」という方も安心してお問合せください。
機器の指定の情報を伝えると、専門の知識を備えたオオノ開發の「PCB処理適正プランナー」が内容をチェック。その上で詳細説明や見積もりの提示など、処理に必要な手続きを案内します。「PCB処理について何もわかっていないけど大丈夫かな」と心配な方も、まずはお問い合わせフォームかお電話でご相談ください。
詳しくは、以下のページからご確認ください。
PCBの使用禁止・規制に関連するよくある質問
PCBが使用禁止となり、規制が始まってから50年以上が経ちましたが、今もまだ多くの低濃度PCB廃棄物が残されているのが現状です。ここでは、PCBの使用禁止・規制に関するよくある質問にお答えします。
PCBはいつまで使われていた?
PCBは1972年(昭和47年)に製造が中止されましたが、PCBが実際に使われていた期間は製品によって異なります。
絶縁油の入替ができないコンデンサだと、1991年(平成3年)以降に製造されたものにはPCBは使われていません。
絶縁油のメンテナンスができる変圧器などの電気機器では、絶縁油の入替やメンテナンスが行われていない1994年(平成6年)以降に出荷されたものであれば、PCB汚染の可能性は低いとされています。
ご自身の所有している機器で、低濃度PCB廃棄物の可能性が考えられる場合は、検査機関に調査を依頼しましょう。
PCBの生産が中止されたのはいつ?
PCBの生産が中止されたのは、1972年(昭和47年)です。人体への毒性が明らかになったことから製造・輸入が禁止されました。
分解されにくい性質のPCBは、人や生態系に有害な物質である残留性有機汚染物として、世界的に危険性が認識されている物質です。国際法であるPOPs条約では、PCB廃棄物は国際的に期限内に適正管理することが定められています。
PCBはいつまでに処分しなければならない?
PCB廃棄物は高濃度PCB廃棄物と低濃度PCB廃棄物に分けられます。
高濃度PCB廃棄物の処理期間は2024年4月現在、すでに終了しました。低濃度PCB廃棄物の処理期限は2027年(令和9年)3月31日までです。
処理期限間近になると、処理施設の予約状況等によっては受け入れができない可能性もでてきます。期限内に確実に処理するためには、余裕をもった計画が重要です。処理期限までに施設内に低濃度PCB廃棄物がないか確認しましょう。
期限はもうすぐ!低濃度PCB廃棄物処理のご相談はオオノ開發へ
PCBは1968年(昭和年)に発生したPCBによる食中毒事件「カネミ油症事件」がきっかけとなり、1972年(昭和47年)に製造・輸入が禁止となりました。PCBは日本だけでなく、世界的に規制されている、人体や環境に有害な物質です。日本ではPCB特別措置法により、PCB廃棄物の所有者に対して届け出や保管、適切な処分を義務付けています。
低濃度PCB廃棄物の処理期限は、2027年(令和9年)3月31日までです。処理期限が迫っている今、低濃度PCB廃棄物を所有している方は、余裕をもった処理計画を立てることが安心へとつながります。
オオノ開發株式会社は環境大臣認定を取得し、日本最大規模の保管・処理施設を有する廃棄物処理会社です。分析から処分完了までの全工程をワンストップシステムでサポートするため、スムーズかつ効率的な処理ができます。
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