PCB汚染物とは?種類や適切な処理方法を徹底解説!低濃度PCB廃棄物処分の注意点も
PCB汚染物、もしくはPCB汚染物の疑いがある物の適切な処理方法について悩んでいませんか?濃度や種類の判別が難しく、廃棄の手順もわからないという方もいるでしょう。
そこで本記事では、PCB汚染物とは具体的にどのようなものを指すのか、その種類や特徴について詳しく解説します。低濃度PCB廃棄物を中心に、適正な処理・廃棄の方法や注意点についてもわかりやすくお伝えするので、ぜひ参考にしてください。
PCB汚染物とは?
PCB汚染物とは、有害物質のPCBに汚染された物、もしくはPCBが使用されている物です。処分が必要なPCB汚染物をPCB廃棄物と呼びます。
PCBとは人工的に作られた化学物質ポリ塩化ビフェニルのこと。不燃性・電気絶縁性が高く、安定した性質を持つのが特徴です。その特性から、電気機器の絶縁油、熱交換器の熱媒体、ノンカーボン紙など、さまざまな用途で使われてきました。
しかし人体や環境に対してのPCBの毒性が明らかになり、現在は製造・輸入が禁止されています。
PCB汚染物の種類と特徴
PCBが使用された代表的な機器がコンデンサや変圧器、安定器です。PCBが使用されたコンデンサーや変圧器は、古い工場やビルで使われていました。PCBに汚染された安定器は、古い工場や学校の蛍光灯などで使われたことがわかっています。一般家庭には、PCBが使われた蛍光灯はありません。
PCB汚染物には、PCBが使用された機器の他に、PCBが塗布されたり、染み込んだりした紙くずや木くず、金属くず、汚泥など、さまざまな物が存在します。汚染の濃度も物質によりさまざまです。廃棄しなければならないPCB汚染物はPCBの濃度により、高濃度PCB廃棄物と低濃度PCB廃棄物の2つに分けられます。
ここで、高濃度PCB廃棄物と低濃度PCB廃棄物の違いと、PCB汚染物の種類について解説します。
高濃度PCB廃棄物と低濃度PCB廃棄物の違い
高濃度PCB廃棄物 | 低濃度PCB廃棄物 | |
主な廃棄物 | ①高圧変圧器・コンデンサ等 ②安定器等 ③可燃性のPCB汚染物(100,000mg/kg超) ④不燃性のPCB汚染物(5,000mg/kg超) | ①微量のPCBに汚染された廃電気機器等 ②可燃性のPCB汚染物等(100,000mg/kg以下) ③不燃性のPCB汚染物等(5,000mg/kg以下) |
処理先 | 中間貯蔵・環境安全事業(株)(JESCO) | 無害化処理認定施設PCBに関する 特別管理産業廃棄物処理の許可施設 |
PCBの含有量が0.5%を超える汚染物は高濃度PCB廃棄物。0.00005%(=0.5mg/kg)より高く0.5%以下となる汚染物は低濃度PCB廃棄物です。
高濃度PCB廃棄物は、国が委託した特殊会社JESCOの処理施設にて処理が行われました。2024年(令和6年)現在、高濃度PCB廃棄物の処理は終了しています。
低濃度PCB廃棄物は、環境大臣が認定する無害化処理認定施設、または都道府県知事等が許可する施設での処理が義務付けられています。低濃度PCB廃棄物の処理期限は、2027年(令和9年)3月31日までです。該当の廃棄物を保管している方は期限内に処分するようにしましょう。
低濃度PCB廃棄物の種類
低濃度PCB廃棄物は大きく分けると低濃度PCB廃油・低濃度PCB汚染物・低濃度PCB処理物の3つに分類されます。
低濃度PCB廃油
低濃度PCB廃棄物の中でも「微量PCB汚染絶縁油」や「低濃度PCB含有廃油」に該当するもの
微量PCB汚染絶縁油……PCBを意図して絶縁材料としていない電気機器またはOFケーブル
低濃度PCB含有廃油……PCBの濃度が1kgにつき5,000mg以下となる低濃度PCB廃棄物
低濃度PCB汚染物
低濃度PCB汚染物は以下の4つの基準があります。
微量PCB汚染物……微量PCB汚染絶縁油が塗布、染み込み、付着した廃棄物や、微量PCB汚染絶縁油が封入された廃棄物
低濃度PCB含有汚染物①……塗布やしみ込んだPCBの量が、1kgにつき100,000mg以下の汚泥、紙くず、木くず又は繊維くず ※前項の微量PCB汚染物に分類されるものを除く
低濃度PCB含有汚染物②……塗布やしみ込んだPCBの量が、1kgにつき100,000mg以下の廃プラスチック類 ※前項の微量PCB汚染物に分類されるものを除く
低濃度PCB含有汚染物③……塗布やしみ込んだPCBの量が、1kgにつき5,000mg以下の金属くず、陶磁器くず又は工作物の新築、改築もしくは除去に伴って生じたコンクリートの破片
、その他これに類する不要物 ※前項の微量PCB汚染物に分類されるものを除く
低濃度PCB処理物
低濃度PCB処理物には以下の7つの基準があります。
微量PCB処理物……低濃度PCB廃油の「微量PCB汚染絶縁油」と、低濃度PCB汚染物の「微量PCB汚染物」を処分するために処理したもの
低濃度PCB含有処理物①……含有するPCBの量が廃油1kgにつき5,000mg以下の廃油 ※前項の微量PCB処理物を除く
低濃度PCB含有処理物②……含有するPCBの量が1kgにつき5,000mg以下の廃酸又は廃アルカリ ※前項の微量PCB処理物を除く
低濃度PCB含有処理物③……含有するPCBの量が1kgにつき5,000mg以下の汚泥、紙くず、木くず又は繊維くずのうち、当該汚泥、紙くず、木くず又は繊維くず
低濃度PCB含有処理物④……含有するPCBの量が1kgにつき5,000mg以下の廃プラスチック類 ※前項の微量PCB処理物を除く
低濃度PCB含有処理物⑤……含有するPCBの量が1kgにつき5,000mg以下の金属くず等
低濃度PCB含有処理物⑥……前項の微量PCB処理物・低濃度PCB含有処理物①~⑥以外のもので、含有するPCBの量が1kgにつき 5,000mg以下のもの
低濃度PCB廃棄物の例
低濃度PCB廃棄物の代表的なものが、OFケーブルなどの微量PCB汚染廃電気機器や橋梁等の塗膜、感圧複写紙、汚泥などです。
感圧複写紙(ノーカーボン紙)は、ペンなどの圧力を使って複写できるように加工している用紙です。1972年(昭和47年)にPCBの使用が禁止されるまでは、感圧複写紙にもPCBが使用されていました。そのため各地にPCBを使った感圧複写紙が残っていると注意喚起されています。
機械の油や汚れなどを拭きとるときに使う布もPCBに汚染されているものがあり、処理の対象です。PCBの染み込んだ泥もPCB汚染物とされます。どちらも、PCB濃度が0.003mg/Lよりも多いことが基準です。
低濃度PCB廃棄物は意図せず汚染した物も多いので、低濃度PCB廃棄物と気付かずに所有している場合もあります。低濃度PCB廃棄物の可能性がある物を所有している場合は、検査機関に調査の依頼が必要です。
オオノ開發のPCB汚染物処理サービス
オオノ開發株式会社では、PCB濃度の分析による低濃度PCB廃棄物の発見から、運搬、処理完了まですべての作業が可能です。一連の流れすべてに対応できるからこそ、スムーズな処理計画の提案が行えます。固形や土壌など、ほぼすべての低濃度PCB廃棄物の品目に対応しており、小型機器から超大型機器まで処理が可能です。
オオノ開發株式会社では、PCB廃棄物を適切かつ迅速に処分できるよう、日本最大規模の保管施設を設けています。お待たせすることのない受け入れが可能です。
PCB廃棄物の疑いがある機器を所有している方は、まずはお電話かお問い合わせフォームからお問い合わせください。経験豊富な専門家がPCB廃棄物の処理に関する疑問や手続きについてもお答えできるため、処理に関する知識が無くても安心です。
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PCB汚染物の判別方法
PCB汚染物はPCBが使用された機器をはじめ、PCBが塗布されたもの、染み込んだものなどがあり、汚染物の形態もさまざま。もちろん汚染されているPCB濃度もそれぞれ違います。では、PCB濃度の判別はどうすればいいのでしょうか。ここではPCB濃度の判別方法とその後の流れを解説します。
低濃度PCB廃棄物の濃度分析とその後の流れ
PCBに汚染されているかわからない場合や、高濃度PCB廃棄物ではないことを確認したい場合は、PCB濃度の分析が必要です。分析は、専門の検査機関に調査を依頼しましょう。
分析の依頼はPCBを採取する「サンプリング」という作業を自分で行い、専門業者へ送付する方法が一般的です。しかし、サンプリングから業者に依頼しなければいけないこともあります。
たとえば、コンデンサのサンプリングは、絶縁油を抜き取るための穴を開け、採油後はしっかりと穴埋めの処置をしなければなりません。サンプリングの実施が困難な場合は、専門業者へ現地での採取を依頼しましょう。
分析の結果、PCB汚染物と判明した場合、PCB特別措置法に基づき届け出が必要です。提出先は保管場所を管轄する自治体です。PCB廃棄物と判明したときだけでなく、保管を始めた場合や保管場所を移したとき、PCB廃棄物を処分した場合にも、届け出は必要になります。届け出の内容によって書類の様式が違うので、事前に確認するようにしましょう。
低濃度PCB廃棄物の処理方法や処理先
低濃度PCB廃棄物の処理期限は2027年(令和9年)3月31日までです。処理期限を過ぎても低濃度PCB廃棄物が未処理の場合、改善命令が下されます。改善命令に違反すると、3年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金またはその両方が課せられるため、早めの処理が重要です。
ご自身の所有している機器等が低濃度PCB廃棄物と判明した場合は、環境大臣が認定する無害化処理認定施設、または都道府県知事等が許可する施設に処理を依頼しましょう。すべてのPCB廃棄物の処理が完了したら、20日以内に管轄する自治体へ届け出が必要です。
PCB汚染物に関連するよくある質問
PCB汚染物にはPCBが使用された機器やノンカーボン紙、PCBが染み込んだ木くずや繊維くずなどさまざまな物があります。PCB汚染物を所有している方は、計画的な処理を行うことが大切です。ここからはPCB汚染物に関するよくある質問にお答えします。
PCB廃棄物とは何ですか?PCB汚染物との違いは?
PCBを使用した機器やPCBに汚染された物が廃棄される際にPCB廃棄物と呼ばれます。一方でPCB汚染物とは「PCBによって汚染(使用)されている物」のことです。廃棄物処理法で定められている分類の一つとしても使われます。
PCB廃棄物はPCB濃度により「高濃度PCB廃棄物」と「低濃度PCB廃棄物」に分類されます。高濃度PCB廃棄物の処理期限は、2024年(令和6年)現在、終了しました。低濃度PCB廃棄物の処理期間は、2027年(令和9年)3月31日までです。
PCBに触ったらどうなる?
PCBは非常に危険な物質ではありますが、急性毒性は衣類の防虫剤程度と言われ、近くにあるだけでただちに影響があるというものではありません。しかし体内に蓄積すると、人体にさまざまな悪影響を及ぼします。そのため顔や手などの皮膚に付着した場合には、応急処置が必要です。
PCBに触れてしまったら、付着した箇所をオリーブ油や椿油などの植物油を含ませた脱脂綿で軽く拭き取りましょう。その後、石鹸で良く洗ってください。
PCBの人体への影響は?
PCBは脂肪に溶けやすく、分解されにくい物質です。触れただけですぐに健康被害が表れることはありません。しかし慢性的に摂取し、体内に蓄積することでさまざまな悪影響を及ぼします。
PCBの中毒症状は、爪や口腔粘膜の色素沈着、ニキビのような吹き出物、爪の変形、関節のはれ、肝機能障害などが代表的です。1968年(昭和43年)に発生したPCBによる食中毒事件「カネミ油症事件」をきっかけに、PCBの毒性が明らかになりました。現在は、PCBの製造・輸入ともに禁止されています。
PCBの人体への影響を詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
【処分期限はもうすぐ】PCB汚染物の早期発見と適切な処理が重要!
PCB汚染物はPCBが使われている機器や、PCBが塗布されたり染み込んだ紙くずや木くず、繊維くず、汚泥などさまざまです。このような汚染物を処分する場合の廃棄物をPCB廃棄物と呼びます。
PCB廃棄物は定められた方法で、適切な処理が必要です。しかし、ご自身の所有している物がPCBに汚染されているかどうかわからないこともあるでしょう。PCB廃棄物の可能性がある場合や、PCB廃棄物ではあるが高濃度か低濃度かわからない場合には、PCB濃度の分析が必要です。
高濃度PCB廃棄物の処理期限は、2024年(令和6年)現在、終了しています。低濃度PCB廃棄物の処理期間は、2027年(令和9年)3月31日までです。低濃度PCB廃棄物を所有している方は、早めの処理計画を行いましょう。
オオノ開發株式会社は環境大臣認定を取得し、日本最大規模の保管・処理施設を有する廃棄物処理会社です。分析から処分完了までの全工程をワンストップシステムでサポートするため、スムーズかつ効率的な処理ができます。
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