産業廃棄物の燃えがらとは。定義や処理方法を解説
事業によって排出された燃えがら(燃え殻)は、産業廃棄物として適切に処分をする必要があります。
そもそも産業廃棄物の燃えがらとはどのようなものを指すのでしょうか。
この記事ではさまざまな事業活動で発生する燃えがらについて、定義から具体例、さらに処理方法までわかりやすく解説します。ばいじんとの違いも解説しているので参考にしてください。
産業廃棄物における「燃えがら(燃え殻)」の定義と例
産業廃棄物における「燃えがら」とは、事業活動の中で物を燃やした際に残る焼却残渣(しょうきゃくざんさ)を指します。焼却残渣(しょうきゃくざんさ)とは物を焼却した後に残る灰や燃えかすのことです。
燃えがらの具体例には以下のものがあります。
- 石炭がら
- コークス灰
- 重油燃焼灰
- 煙道灰
- アルミ灰
- 下水道焼却灰
- 製紙スラッジ焼却灰
- 各種重金属含有焼却灰 など
燃えがらとばいじんの違いは?
物の燃焼により発生する産業廃棄物には、燃えがらの他に「ばいじん」と呼ばれるものがあります。ときに混同されることもある燃えがらとばいじんですが、その特徴や性質には違いがあるため、ここで確認しましょう。
燃えがらとは、物を燃やした後に残る固形の残渣のことで、焼却炉の底に残ります。
一方でばいじんは、燃焼中に発生する微細な粒子状の物質です。非常に細かく、目に見えない物質も含まれており、空気中に浮遊したものも集塵機などで捕集されます。
燃えがらの処理方法
燃えがらの処理方法は、一般的には最終処分とリサイクルの2パターンです。燃えがらの成分や含有する有害物質の種類によって適切な処理方法が選ばれます。
近年の環境省の発表によると、燃えがらの再利用率は約72.2%で、最終処分率は約21.6%です。燃えがらは廃棄物の中でも最終処分の比率が高いという結果となっています。
参考:環境省「令和4年度事業産業廃棄物排出・処理状況調査報告書 令和3年度速報値」
ここでは燃えがらの処理方法である、最終処分とリサイクルについて解説します。
①最終処分(埋め立て処理)
重金属などの有害物質を含んでおらず、比較的、清浄な燃えがらは管理型最終処分場に直接埋められます。
有害物質を含む燃えがらは、環境への影響を抑える安定化処理が必要です。安定化処理にはコンクリートで固めて有害物質を閉じ込めたり、溶融(ようゆう)処理をして重金属を取り除いたりする方法があります。安定化処理された燃えがらはコンテナなどの容器に収納し、管理型最終処分場に埋め立てられるのが一般的です。
一方で安定化処理を行うと、廃棄物の容量が増してしまったりコストが増したりする懸念もあります。そのため安定化せずに最終処分をする場合は、遮断型最終処分場に埋め立てます。ただし遮断型最終処分場は数が少なく、埋め立てるための容量も多くありません。
②リサイクル
燃えがらは単体での再製品化が簡単にはできません。そのためリサイクルする際は、高温で加熱する焼成(しょうせい)や溶融処理が行われます。
燃えがらを焼成すると、セメントの原料としての再利用が可能です。溶融処理によって生じる物質(スラグ)は、土木資材や建築資材などにリサイクルされます。
オオノ開發の処理施設
燃えがらやばいじんは適切に処理されなければ環境に悪影響を与える可能性がある産業廃棄物です。
このような廃棄物も適切に処理し再利用するために、オオノ開發株式会社は高度な技術を取り入れた施設を備えています。
オオノ開發のSST・SSHプラントは、それぞれで廃棄物日量120トンが焼却可能な施設です。SSHプラントでは焼却過程で発生する熱を利用して発電をおこなう省エネ構造を採用しており、発電した電力はすべて敷地内動力として利用しています。
ばいじんの処理をおこなっているのは、フライアッシュ改良リサイクルプラントという施設です。ここではばいじんを造粒固化※し、盛土材や埋め戻し材などの資源として再利用できるようにしています。
※造粒固化……粒状の塊にし、その後、圧縮などを加えて固める技術
こうした設備の活用により、オオノ開發は持続可能な資源循環型社会の実現に貢献しています。
まとめ
燃えがらとは、事業活動の中で物を燃やした後に残る灰や燃えかすのようなもの(焼却残さ)を指します。燃えがらと同じく、物を焼却した際に発生する産業廃棄物にばいじんがありますが、燃えがらとは別物です。
燃えがらには重金属やダイオキシン類などの有害物質が含まれる場合があり、適切な処理が重要です。また、リサイクルによって資源として活用される可能性も秘めています。
最適な方法で処理を行うためにも、燃えがらの処分は認可を得た産業廃棄物処理業者に委託をしましょう。