PCBとは?簡単に解説|事業所のPCB含有製品や処理方法を確認しよう!
PCB(ポリ塩化ビフェニル)は、かつてさまざまな電気機器に使用されていた化学物質です。PCBを含む機器を所有している事業者の方は、適切な管理と処理を行わなければなりません。
一方で「そもそもPCBとは何なのか?」「もしPCB含有の機器があったらどうすればいいのか?」と悩んでいる方も少なくありません。
そこで本記事では、「PCBとは何か」という解説から、毒性や人体への影響、処理期限などの基本の情報を簡単に解説します。
PCB(ポリ塩化ビフェニル)とはどんなもの?
PCBとは簡単にいうと、Poly Chlorinated Biphenyl(ポリ塩化ビフェニル)の略称で、人工的に作られた化学物質です。主に油のような性質をしています。
PCBは水に溶けにくく、沸点が高いため熱してもなかなか分解されません。さらに燃えにくく、電気を流さないなどの特徴を持っています。
PCBは化学的に非常に安定した性質のため、電気機器の絶縁油や熱交換器の熱媒体、ノンカーボン紙などさまざまな製品に使用されていました。
しかしPCBの危険性が明らかとなり、現在は製造・輸入ともに禁止されています。
PCBの毒性と人体への影響
上記でも記載した通り、PCBはその安定性からさまざまな分野で利用されてきましたが、現在は人体や環境に対して深刻な悪影響を与えることが明らかになっています。
PCBは脂肪に溶けやすい性質があり、慢性的な摂取により体内に蓄積するのが特徴です。長期間にわたって蓄積すると体内から排出されにくくなり、蓄積量が増えると健康に深刻な影響を及ぼします。
PCBの恐ろしさを世に知らしめたのが、1968年に発生した「カネミ油症事件」です。食用油(ライスオイル)の製造過程で、熱媒体として使用されたPCBが誤って混入し、これを摂取した人々が深刻な健康被害を被りました。
PCBによる健康被害は、吹出物や色素沈着、黒ずみ、目やになどの肌の症状の他、全身のだるさやしびれ、食欲不振など症状はさまざまです。また、発がん性の疑いも報告されています。
PCBの人体への影響について詳しく知りたい方は下記の記事もご覧ください。
PCBの人体への影響と適切な処置方法を解説!PCB廃棄物は早めに処分を
PCB廃棄物処理の取り組みとその背景
優れた性質からさまざまな用途で使用されていたPCBですが、人体や環境への危険性が明らかになり、1972年(昭和47年)に製造が中止されました。
PCBの製造が中止されてから、処理についてさまざまな検討がされましたが、PCB処理施設の建設は周辺住民の反対や高額な費用により困難を極めました。またPCBの保管が長期化すると、紛失や漏洩などの恐れがあり、環境汚染の危険性が高まります。
これらの問題に対応するため、2001年(平成13年)に「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」(PCB特措法)が制定されました。この法律に基づき、政府出資の特殊会社である中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)が設立され、全国5か所に処理施設が整備されました。
PCB廃棄物の中でも、高濃度PCB廃棄物が環境へのリスクが高いと判断され2016年(平成28年)には、PCB特措法が改正。ここからPCB廃棄物の処理が迅速に進められるようになりました。
低濃度PCB廃棄物の処理期限は2027年3月31日まで
PCB廃棄物は、含まれているPCBの濃度によって、「高濃度PCB廃棄物」と「低濃度PCB廃棄物」の2種類に分類されます。高濃度PCB廃棄物の処理期限は2023年3月31日までで、すでに終了しています。
低濃度PCB廃棄物の処理期限は2027年(令和9年)3月31日までです。
処理施設の予約状況によっては、期限が近づくにつれて処理の受け入れが困難になることも考えられます。低濃度PCB廃棄物を保有している方は、早めに処理を心掛けましょう。
オオノ開發株式会社では、低濃度PCB廃棄物処理の見積もり依頼を無料で受けています。Zoomを活用したオンライン相談も承っているため、「話を直接して相談したい」という方も安心です。
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詳しくは、以下のページからご確認ください。
PCB含有の代表的な機器
PCB廃棄物の代表的なものは、高圧変圧器・コンデンサーがあげられます。高圧変圧器・コンデンサーなどのPCBが意図的に使われた機器は高濃度PCB廃棄物に該当し、中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)で処理が行われました。
低濃度PCB廃棄物の代表的なものには、OFケーブルや橋梁等の塗膜、感圧複写紙、汚泥などがあげられます。環境大臣が認定する無害化処理認定施設および都道府県知事等が許可する施設で、低濃度PCB廃棄物の処理が可能です。
低濃度PCB廃棄物の種類や適切な処理方法について詳しく知りたい方は下記の記事もご覧ください。
PCB汚染物とは?種類や適切な処理方法を徹底解説!低濃度PCB廃棄物処分の注意点も
PCBに関連するよくある質問
PCBは環境や人体に悪影響のある、人工的に作られた化学物質です。まだまだPCBに対して疑問を持つ方もいるでしょう。ここではPCBに関連するよくある質問にお答えします。
PCBはなぜ危険なのか?
PCBは脂肪に溶けやすく、食物連鎖などで生物の体内に徐々に蓄積します。一度体内に入るとなかなか排出されません。
PCBが体内に蓄積されるとさまざまな健康被害が引き起こされます。PCBの中毒症状は、目ヤニや爪・口腔粘膜・皮膚の色素沈着、ニキビのような湿疹や吹出物、爪の変形、まぶたや関節の腫れなどがあり、発がん性の疑いも報告されています。
PCBは何に使われている?
PCBは化学的に安定しており、耐熱性や絶縁性、非水溶性といった性質を持っています。その有用性から幅広い用途に利用されてきました。代表的なものでは、変圧器やコンデンサ・安定器などの電気機器用絶縁油や感圧紙、塗料、印刷インキの溶剤などです。
しかしPCBの人体や環境への危険性が明らかになり、現在は製造・輸入いずれも禁止されています。PCBが使用された製品は定められた方法で、適切な処理が必要です。
PCBは人体に取り込まれるのでしょうか?
PCBは脂肪に溶けやすい性質があり、人に限らず生物の体内に蓄積しやすい特徴があります。生体に一度取り込まれると、体内で分解されず排出するのは困難です。
PCBは食物連鎖を通じて移動し続けるので、食物連鎖の上位にある人間や肉食動物ほど影響を強く受けてしまいます。
PCBについての理解を深め、期限内に適切な処理を!
PCB(ポリ塩化ビフェニル)とは、かつて電気機器の絶縁油や熱媒体などとして幅広く利用されていた化学物質です。化学的に安定しているという優れた性質を持っていたため、さまざまな製品に使われていました。
PCBが使用された代表的な製品は、変圧器やコンデンサ、感圧複写紙などがあります。さまざまな用途で使用されていたPCBですが「カネミ油症事件」をきっかけに、PCBの人体や環境への危険性が広く認識されました。現在は製造・輸入が禁止されていますが、まだ多くのPCB廃棄物が残されている現状です。
高濃度PCB廃棄物の処理期限はすでに終了しています。低濃度PCB廃棄物の処理期限は、2027年(令和9年)3月31日まで。できるだけ早めに、適切な処理を行いましょう。
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