廃棄物の種類

産業廃棄物のゴムくずとは。具体例や処分方法を解説

輪ゴム
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産業廃棄物に分類されるゴムくずは、事業活動から生じる廃棄物の中でも天然ゴムを原料としたものです。

ゴムは長期間分解されにくい素材のため、環境に悪影響を及ぼさないよう、適切な処理をしなければなりません。また処理方法を誤ると法的な問題が生じることもあり、正しい知識が必要です。

本記事では、ゴムくずの定義や具体的な処分方法、リサイクルの現状をなどを詳しく解説します。

産業廃棄物のゴムくずとは?

ゴムくず

産業廃棄物のゴムくずとは、事業活動に伴い発生した天然ゴムを主原料とする廃棄物を指します。

廃タイヤや使用済みゴムホース、ゴム手袋などが思い浮かぶ方もいるかもしれません。しかしタイヤなどの合成ゴムを素材とした廃棄物は、ゴムくずではなく廃プラスチック類に分類されます。合成ゴムには人工的に合成された高分子化合物が含まれているため、分類が異なる点に注意が必要です。

廃プラスチック類について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。

産業廃棄物の廃プラスチック類とは。定義や処理・リサイクルの方法を解説

ゴムくずの具体例

積み重なった大量のゴムくず

ゴムくずは、主に製造業や加工業の生産工程で生じる端材廃棄された製品が多いです。

たとえば、自動車部品の製造過程で出るゴム部品の端材、医療用ゴム製品の加工時に発生する余剰部分、建築現場で使用されるゴムシートの切断片などが挙げられます。

代表的なゴムくずの例は以下の通りです。

  • 切断くず・裁断くず
  • ゴム引布くず
  • エボナイトくず
  • ゴム手袋
  • ゴムチューブ など

ゴムくずの処分方法

廃棄物処理施設

ゴムくずは自然環境に残存すると分解に長い時間がかかる性質があるため、適切な処理が必要です。

環境省の報告書によると、ゴムくずの最終処分率は約18.5%で、産業廃棄物の中でも2番目に高い水準となっています。

この数字からもわかるように、ゴムくずの処理方法は埋め立てなどの最終処分が主流です。しかし近年は、リサイクルの取り組みも徐々に広がりを見せるようになりました。

ここで、ゴムくずの処分方法を詳しく解説します。

参考:環境省「令和4年度事業産業廃棄物排出・処理状況調査報告書 令和3年度速報値」

最終処分(埋め立て)

ゴムくずは最終的に埋め立て処分されるものがほとんどです。

処分の流れとして、廃棄物がそのまま埋め立てられるケースもあれば、選別や破砕を行い、焼却や溶融処理を経た後に埋め立て処分することもあります。

埋め立て処分される日本の最終処分場は限界を迎えつつあるのが現状です。そこで破砕や焼却、溶融処などの中間処理を挟むことで、最終処分場への負荷を軽減し、処理効率を高める取り組みが進められています。また、ゴムくずのリサイクル促進も課題となっています。

リサイクル

ゴムくずのリサイクルは主流ではありませんが、取り組みは行われています。

その一つが、焼却後に発生する焼却灰を路盤材やセメントの原料として再利用する方法です。

ゴムくずを粉砕してゴムチップ化し、それを燃料や発電のエネルギー資源として活用する取り組みも行われています。

これらの方法は製造コストや品質の課題があるため、全体のリサイクル率は低いのが現状です。それでも限られた埋立地資源を保護して環境負荷を減らすために、リサイクル技術の向上が期待されています。

ゴムくずの処理費用の相場

コストの計算

ゴムくずの処理費用は、30~60円/kgが相場とも言われています。ただし実際は、ゴムくずの種類や処理を依頼する地域、業者によって変動する点にご注意ください。処理費用の詳細は産業廃棄物業者へ問い合わせて確認しましょう。

ゴムくずに関連するよくある質問

Q&A

法令遵守だけでなく環境保全のためにも、ゴムくずの適切な処理が大切です。ここからは、天然ゴムや合成ゴムの違いや廃棄方法、リサイクルの可能性など、よくある質問について解説します。

ゴムは廃プラスチック類ですか?

産業廃棄物におけるゴムの分類は、原料によって異なります。事業活動に伴って発生した廃棄物のうち、原料が天然ゴムである場合は「ゴムくず」合成ゴムの場合は「廃プラスチック類」です。

この区別は廃棄物処理法に基づいており、処理方法や分別を誤ると法律違反となる可能性があります。違反があった場合、収集運搬や処分を依頼した排出事業者も罰則を受けるため、法令に則った取り扱いが重要です。

天然ゴムと合成ゴムの違いは何ですか?

天然ゴムとは、ゴムノキの樹液を加工して作られた自然由来の素材です。これを原料とする廃棄物のみが「ゴムくず」に分類されます。

一方、合成ゴムは原油を主原料とした合成高分子化合物で、人工的に作られた素材です。合成ゴムが主成分の廃棄物は「廃プラスチック類」とみなされるため、分類を誤らないように注意しましょう。

ゴムはリサイクルできますか?

ゴムくずはリサイクル可能ですが、リサイクルに伴う製造コストや品質維持の課題から、他の産業廃棄物と比較してリサイクル率は低いのが現状です。それでも、適切な方法を選ぶことで、ゴムくずの有効利用を進められます。ゴムくずのリサイクルを検討する際は、専門業者に相談しましょう。

まとめ

ゴムくずは、産業廃棄物の一種として適切な処理が求められる廃棄物です。特に、天然ゴムと合成ゴムの違いを理解し、正確な分類が求められます。

処理の委託においては、信頼できる産業廃棄物処理業者を選ぶことが重要です。リサイクルの可能性を含めた処理方法を業者と相談し、環境負荷を軽減する取り組みにも目を向けていきましょう。

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