PCBの人体への影響と適切な処置方法を解説!PCB廃棄物は早めに処分を
PCB(ポリ塩化ビフェニル)は、かつて幅広い用途で使用された化学物質です。しかし現在では、深刻な人体への影響が明らかになりました。
PCBは体内に蓄積しやすく、長期的な摂取によりさまざまな健康被害を引き起こす恐れがあります。環境中に残留したPCBが生態系に及ぼす影響も看過できません。PCBによる汚染は、私たちの健康と環境に対する大きな脅威となっています。
本記事では、PCBが人体と環境に与える影響について詳しく解説するとともに、PCB廃棄物の適切な処理方法についても紹介します。PCB廃棄物の保管事業者の方はぜひ参考にしてください。
PCBによる人体への影響
PCBは脂肪に溶けやすく、一度体内に入ると外へ排出されにくい物質です。慢性的に摂取すると、体内にどんどん蓄積され、体にさまざまな悪影響を及ぼします。
PCBは、1968年(昭和43年)、西日本を中心に発生した「カネミ油症事件」をきっかけに問題視されるようになりました。これは食用の米ぬか油の製造過程で、誤って製品にPCBが混入し引き起こされた、大規模な食中毒事件です。汚染された米ぬか油を使用した人々が、体内にPCBを大量に摂取してしまい、深刻な健康被害が発生したのです。
人がPCBを摂取し、体内に大量に蓄積されると、どのような影響があるのでしょうか。ここでは、PCBが人体へもたらす影響を解説します。
PCBの毒性と主な症状
PCBは脂肪に溶けやすい性質から、食物連鎖などにより徐々に体内に蓄積しやすい物質です。体内への蓄積によって、さまざまな症状を引き起こすことがわかっています。
PCBの中毒症状は、目ヤニや爪・口腔粘膜・皮膚の色素沈着、ニキビのような湿疹やできもの、爪の変形、まぶたや関節の腫れなどの症状がまず挙げられます。
また、発がん性の疑いも報告されています。実際に、カネミ油症事件の初期の死因には、がんが多数報告されました。
カネミ油症事件での被害者の症状は、上記の皮膚症状以外にもさまざまなものが報告されています。
- 全身の倦怠感
- しびれ感
- 食欲不振
- 急な下痢
- 髪の毛が大量に抜ける など
亡くなった方の中には死因不明のケースもありました。
水俣病の研究で有名な原田正純医師は、油症患者の自主検診に取り組んだ中で、カネミ油症を「病気のデパート」と表現しています。それほどまでに、健康被害の症状が様々な形で全身に表れていたとわかります。
人体への影響が30年以上残ることも
PCBは分解されにくいため、体内に取り込まれるとなかなか排出されません。PCBは急性よりも慢性の悪影響が大きく、長年に渡って人体へさまざまな症状を引き起こすことが判明しています。
歯や関節の異常や頭痛・しびれなど30年以上経過した現在でも確認されている症状もあります。もっとも多く挙げられている皮膚症状が改善に向かい始めるのは、発症から10年経過したあたりからです。非常にゆっくりと改善が見られると報告されています。
女性や次世代の子どもへの影響
PCBの毒性は女性や子どもにも深刻な問題を与えます。ひとつは子宮や卵巣に影響を及ぼし、妊娠能力を低下させることです。妊娠中にPCBを摂取してしまった女性は、流産や死産に至るケースが多く報告されました。
PCBの悪影響は、直接摂取した本人だけに留まりません。胎児にも深刻な問題を与えます。
へその緒を通じて、PCBが胎児へ取り込まれることで起こる影響は、低体重児や胎児仮死、色素沈着などです。カネミ油症事件では、全身の肌が黒ずんだ「黒い赤ちゃん」が生まれ、2週間ほどで死亡した事例が発生し、世間に大きな衝撃を与えました。
生まれた子どもが子どもが学童期を迎えても、歯根がない、永久歯が少ないなどの健康被害が報告されています。1979年(昭和54年)に台湾で発生したPCBの中毒事件では、PCBの影響を受けた母親から生まれた子どもの知的発達の遅れが指摘されました。
PCBによる環境への影響
PCBが人に与える影響について説明をしてきましたが、環境には問題がないのだろうかと疑問に思う方もいるでしょう。PCBは環境にも大きな影響を与えます。
ひとつは大気汚染です。PCBは焼却処分すると、非常に毒性の強いダイオキシンを発生させます。ダイオキシンとは、環境にも人体にも大きな被害をもたらす有毒ガスです。大気汚染を避けるため、PCBを焼却する際は専用の施設で処理しなければなりません。
分解されにくい特徴をもつPCBは、環境に放出されると大気だけでなく、海や土壌にも長期間残留します。PCBは時間をかけて長距離移動してしまうため、発生源とは遠く離れた極地にも汚染が広がりかねません。
PCBは、分解されにくい性質のため、生物の体内に入ると残存したまま、食物連鎖によって移動を繰り返す点も特徴的です。そのため、食物連鎖で上位の人間や、肉食動物ほどPCBの影響が大きいといえます。
人体だけでなく環境にも悪影響の大きいPCBは、国内では1972年(昭和47年)に生産・輸入が禁止になりました。しかし禁止されて50年近くたった今でも、環境に残り続けています。
危険性の高いPCBは適切に処理を
PCBによる環境汚染や健康被害を未然に防ぐには、PCBを適切な方法で処理することが重要です。
PCB廃棄物はPCBの濃度により、高濃度PCB廃棄物と低濃度PCB廃棄物に分類されています。高濃度PCB廃棄物は、全エリアで処理期限が終了しました。低濃度PCB廃棄物の処理期限は、令和9年(2027年)3月31日までです。
低濃度PCB廃棄物を所有している方は、期限内に処理することが非常に重要です。処理期限を過ぎてしまうと、低濃度PCB廃棄物を処理することができなくなります。その後、所有者は、定められた方法で永久に保管しなければなりません。
また、PCBを使用した製品による漏洩事故は、全国各地で発生しているのが現状です。PCBの漏洩事故が発生した場合、PCB廃棄物の保管事業者に責任があります。保管事業者や汚染原因者に対して、対策費用相当額の支払いを求められる可能性もゼロとは言えません。このようにPCB廃棄物を所有し続けることは、所有者にとって負担が大きいと考えられます。
万が一の事態を避けるためにも、低濃度PCB廃棄物を所有している方は、なるべく早めの処理を行いましょう。
オオノ開發株式会社では、低濃度PCB廃棄物処理の見積もり依頼を無料で受けています。Zoomを活用したオンライン相談も承っているため、「話を直接して相談したい」という方も安心です。
機器の指定の情報を伝えると、専門の知識を備えたオオノ開發の「PCB処理適正プランナー」が内容をチェック。その上で詳細説明や見積もりの提示など、処理に必要な手続きを案内します。「PCB処理について何もわかっていないけど大丈夫かな」と心配な方も、まずはお問い合わせフォームかお電話でご相談ください。
詳しくは、以下のページからご確認ください。
PCBに触ったらどうすればいい?手や皮膚についたときの対処法
もしPCBに触れてしまった場合は、どのように対処すればよいのでしょうか。
PCB廃棄物は長期での保管により、機器本体や容器に腐食や変形が生じるおそれがあります。すると、PCBを含む油が漏れ出したり、気化して空気中に舞い上がったりして、人の顔や手などに付着することがあるかもしれません。
PCB自体の毒性は衣類の防虫剤程度と言われ、直接飲んだり触れたりしない限り、すぐに健康被害が出るものではありません。しかし、PCBは人体に蓄積して健康被害を及ぼす物質です。万が一、触れてしまった場合は、早急に対処しましょう。
PCBに触れたときの応急処置
PCBが顔や手など皮膚に付いてしまった場合、オリーブ油や椿油などの植物油を脱脂綿に含ませて拭き取りましょう。拭き取った後は石鹸を使って、PCBが付着した箇所をよく洗ってください。
口にPCBが入ったときには、ただちに吐き出して、水でうがいを何回も繰り返しましょう。
眼にPCBが入った場合は、ただちに多量の水で洗眼してください。水での洗眼を15分以上した後に、3%のホウ酸水で洗眼しましょう。ホウ酸は薬局でも売られています。
PCBの蒸気を吸い込んでしまった場合は、すぐに発生場所から離れ、新鮮な空気の通る場所で安静にしましょう。
事故が発生したら届け出が必要
PCBが漏洩したり飛散してしまったりした場合は、事故という扱いになります。保管場所を管轄している自治体へ届け出をしなければなりません。
PCBによる事故が発生したら、まずは応急措置や避難、除去作業など、状況に応じて適切に対処しましょう。その上で責任者は速やかに保管場所が属する都道府県に連絡してください。
事後措置も大切です。事故の原因究明を行い、再発防止策を講じて実行しましょう。
そもそもPCBとは?何に使われている?
PCBとはポリ塩化ビフェニル (PolyChlorinated Biphenyl)の略称で、人工的に作られた油状の物質です。PCBには、下記のような特徴があります。
- 水に溶けにくい
- 沸点が高い
- 熱で分解しにくい
- 不燃性
- 電気絶縁性が高い
化学的にも安定している物質のため、電気機器の絶縁油、熱交換器の熱媒体など、さまざまな用途で利用されていました。PCBを使用した機器として代表的なものが、変圧器やコンデンサーです。その他に、蛍光灯やノンカーボン紙などもあります。
幅広く使用されたPCBですが、その危険性が明らかになり、1972年(昭和47年)に製造・輸入が禁止になりました。
PCBが使用された機器やPCBに汚染されたものをPCB廃棄物といいます。PCB廃棄物はPCBの濃度により、高濃度PCB廃棄物と低濃度PCB廃棄物に分けられます。高濃度PCB廃棄物は、全エリアで処理期限が終了しました。低濃度PCB廃棄物の処理期限は、令和9年(2027年)3月31日までです。
PCB廃棄物を所有する事業者には、保管状況などを届出および、期間内に適正に処分することがPCB特別措置法で義務付けられています。
PCB廃棄物を期限内に処理できなかった場合、厳しい制限のもとで永久に保管しなくてはいけなくなる可能性が否定できません。低濃度PCB廃棄物を所有している方は、早めの対策が重要です。
PCBの人体への影響に関連するよくある質問
PCBは人や環境に悪影響を及ぼす物質です。しかしどのように危険なのか、まだまだ疑問を持つ方もいるでしょう。ここでは、PCBの人体への影響に関連するよくある質問にお答えします。
PCBに触ったらどうなる?
PCB自体の毒性は、防虫剤程度と言われています。近くにあるだけで、すぐに影響が表れることはありません。しかしPCBは体内に入り蓄積すると、さまざまな健康被害を発生させる危険な物質です。PCBは脂肪に溶けやすく体外に排出されにくいため、顔や手など皮膚に付着した場合には、早急に対処しましょう。
PCBは人体内に取り込まれる?
PCBは人体内に取り込まれやすい物質です。PCBは脂肪に溶けやすく、分解されにくい特徴をもっているため、体内に取り込まれると排出されずどんどん蓄積します。体内にPCBが蓄積することにより、さまざまな症状を引き起こします。
実際に発生したPCBによる健康被害事件が、1968年(昭和43年)に起きたカネミ油症事件です。この事件は、食用の米ぬか油に誤ってPCBが混入し、その米ぬか油を摂取した人々に健康被害を発生させました。症状は、吹出物や色素沈着、目やになどの皮膚症状の他、全身倦怠感、しびれ感、食欲不振など全身に及んだと報告されています。
PCBが手についたときはどうすればいい?
PCBが手に付着した場合は速やかな対処が必要です。PCBが付着した箇所をオリーブ油や椿油などの植物油を含ませた脱脂綿で拭き取ってください。拭き取った後は石鹸を使って、PCBが付着した箇所をよく洗いましょう。
人体への影響は大きい!低濃度PCB廃棄物処理の問い合わせはオオノ開發へ
PCBが人体へ与える影響は決して軽くありません。PCBが体に取り込まれ蓄積が進むと起こるのが、ニキビのような湿疹や爪や口腔粘膜の色素沈着、まぶたや関節の腫れなどのさまざまな症状です。発がん性や神経系・免疫系への影響もあると報告されています。
人体に悪影響のあるPCBは、1972年(昭和47年)に旧通商産業省の行政指導により製造・輸入が禁止され、回収の指示が出されました。現在では、PCBの適正な処理の推進に関する特別措置法により、PCB廃棄物を所有する事業者に保管・処分状況の届け出が義務付けられています。しかしPCB廃棄物は処分されず残されているものもあるのが現状です。
万が一PCBが漏洩すると、多くの人に甚大な被害を与えてしまうことになりかねません。さらに、PCBによる問題が起こった際に責任を負うのは、PCB廃棄物の保管事業者です。
低濃度PCB廃棄物の処理期限は、2027年(令和9年)3月31日までと決まっています。できるだけ早めに、適切な処理を行いましょう。
とはいえ「何からやったらいいかわからない」という方は、まずはオオノ開發株式会社へお問い合わせください。
オオノ開發株式会社は環境大臣認定を取得し、日本最大規模の保管・処理施設を有する廃棄物処理会社です。分析から処分完了までの全工程をワンストップシステムでサポートするため、スムーズかつ効率的な処理ができます。
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