低濃度PCB廃棄物の処理費用の相場はいくら？処理方法とともに解説

低濃度PCB廃棄物の処理費用について、疑問をお持ちではありませんか？実際に必要な費用は、低濃度PCB機器の種類、PCB濃度、設置場所などによって変わります。PCB濃度を知るには、汚染されている機器の分析も必要です。

そこでこの記事では、低濃度PCB廃棄物の処理費用や処理方法、助成について解説します。「費用を調べる方法は？」、「処理期限が迫っているがどうしよう」と感じている方はぜひ参考にしてください。

低濃度PCB廃棄物の処理費用は見積もりしないとわからない

低濃度PCB廃棄物の処理費用は、PCB濃度や廃棄物の種類、重量、処理方法、処理施設などによって変化します。そのため正確な費用は、見積もりをしないとわかりません。

高濃度PCB廃棄物は、高濃度PCB廃棄物の処理に特化した処理会社JESCOでないと、調査や処理ができません。一方で、低濃度PCB廃棄物は、環境大臣が認定した民間業者や都道府県知事の許可を有している産業廃棄物処理業者も対応できます。

処理費用は業者によっても差があるため、正確な金額を知るには各処理業者へ見積もりの依頼が必要なのです。処理費用とは別に機器の運搬費や、濃度分析にかかる分析費用も別途発生することもあります。

低濃度PCB廃棄物の処理費用の見積もりを依頼する際は、該当機器の重量やサイズ、保管先の住所などの指定された情報を伝えましょう。見積もり自体は無料で出してもらえる業者がほとんどです。

オオノ開發株式会社では、低濃度PCB廃棄物処理の見積もり依頼を無料で受けています。Zoomを活用したオンライン相談も承っているため、「直接話をして相談したい」という方も安心です。

機器の指定の情報を伝えると、専門の知識を備えたオオノ開發のPCB処理適正プランナーが内容をチェック。その上で詳細説明や見積もりの提示など、処理に必要な手続きを案内します。

「PCB処理について何もわかっていないけど大丈夫かな」と心配な方も、まずはお問い合わせフォームかお電話でご相談ください。

詳しくは、以下のページからご確認ください。

 低濃度PCB廃棄物とは

PCB廃棄物は、PCBの濃度によって高濃度PCB廃棄物と低濃度PCB廃棄物に分けられます。

低濃度PCB廃棄物とは、PCB濃度が0.00005%（=0.5mg/kg）より高く0.5%以下となる汚染物のことです。ただし、塗膜くずや感圧複写紙などの焼却可能なPCB汚染物の場合は、PCB濃度が10％以下であれば低濃度PCB廃棄物とされます。

以前は焼却の可否にかかわらず一律で、PCB濃度0.5%以下（=5g/kg）の汚染物が低濃度PCB廃棄物と定義されていました。しかし2019年12月に「廃棄物処理法及びPCB特別措置法」が改正され、現行の基準に変更となっています。

低濃度PCB廃棄物の種類

現存の低濃度PCB廃棄物でも多いのは、本来はPCBが使われていないはずの電気機器です。これは約数mg/㎏～数10mg/㎏の濃度で汚染された絶縁油が、意図せずに使われてきたためです。

PCBは絶縁性や不燃性などの特性から、絶縁油として再利用されていました。このような電気機器は、1990年（平成2年）までに実施された再生絶縁油事業で汚染されたと考えられています。

このような電気機器も含め、低濃度PCB廃棄物の種類は「低濃度PCB廃油」、「低濃度PCB汚染物」、「低濃度PCB処理物」の3種類に大別されます。

・低濃度PCB廃油

低濃度PCB廃棄物の中でも「微量PCB汚染絶縁油」や「低濃度PCB含有廃油」に該当するもの

・低濃度PCB汚染物

低濃度PCB汚染物は以下の4つの基準があります。

・低濃度PCB処理物

低濃度PCB処理物には以下の7つの基準があります。

高濃度PCB廃棄物との違い

低濃度PCB廃棄物と高濃度PCB廃棄物は、PCB濃度の定義が異なります。PCBの含有量が0.5%を超える汚染物は高濃度PCB廃棄物に該当します。低濃度PCB廃棄物と異なり、民間の事業所では処分できません。国の全額出資により設立された特殊会社JESCOで処分します。

PCB廃棄物は処理期限が定められており、高濃度PCB廃棄物はすでに期限を迎えているという点も、低濃度PCB廃棄物との違いです。高濃度PCB廃棄物の処分事業は、エリアによって終了しているところもあります。

低濃度PCB廃棄物の処理期間は2027年（令和9年）3月31日です。該当の廃棄物を保管している方は期限内に処分するようにしましょう。

低濃度PCBの分析・処分でもらえる助成金

低濃度PCB廃棄物を処理するには濃度の分析が必要なケースもあり、費用は分析と処理、それぞれで発生します。数十万円から数百万円の費用が発生することもあり、負担が大きいと感じる方も少なくありません。「助成金や補助金はないのだろうか」と調べている方もいるでしょう。

現在、東京都では一定の条件を満たすと、処理費用を負担する企業や個人事業主の方が助成を受けられる制度があります。その他の自治体については、PCB処理に関する窓口へお問い合わせください。

この他、低濃度PCBに汚染されたと思われる変圧器を対象に「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金」という制度が実施されています。

また国の融資もあるので、処理費用の負担が大きいと感じる方は詳細を確認してはいかがでしょうか。ここからはそれぞれの制度を簡単に紹介します。

【東京都】PCB（ポリ塩化ビフェニル）廃棄物 助成事業

東京都の「PCB（ポリ塩化ビフェニル）廃棄物 助成事業」は、公益財団法人東京都環境公社が実施する事業です。低濃度PCB廃棄物の分析と処理に関連する経費の一部を助成します。

助成対象者は、都内の事業所に低濃度PCB廃棄物を所有している個人、中小企業者、管理組合法人などです。

詳しい内容は、公益財団法人東京都環境公社の公式サイトをご確認ください。

東京都環境公社　PCB（ポリ塩化ビフェニル）廃棄物 助成事業

二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金

公益財団法人 産業廃棄物処理事業振興財団では、脱炭素社会や自立・分散型社会の構築を目指し、PCB廃棄物に必要な経費の一部を補助する事業を実施しています。

補助の対象は個人や民間事業者、一般社団法人・一般財団法人及び公益社団法人・公益財団法人、法人など。要件は下記の3パターンです。

1．低濃度PCBに汚染された可能性のある変圧器の分析調査

2．低濃度PCBに汚染された変圧器から、高効率変圧器※への交換

（交換の場合、リースによる導入も補助対象）

※補助対象は、トップランナー変圧器2014のうち産業廃棄物処理事業振興財団が定める省エネルギー基準達成率以上のもの

3．前記1.と2.を一体的に行う事業

1事業者が多数の変圧器交換を申請しなければならない場合は、事前に相談が必要です。

詳しい内容は、公益財団法人 産業廃棄物処理事業振興財団の公式サイトをご確認ください。

PCBに汚染された変圧器の高効率化のための補助金制度

【財政投融資】PCB廃棄物処分関連の融資

低濃度PCB廃棄物の処理費用は、日本政策金融公庫が行う環境・エネルギー対策資金の融資対象です。

低濃度PCB廃棄物を自分で処分する場合、もしくは委託処分する場合に必要な長期運転資金を融資します。

詳しい内容は、日本政策金融公庫の公式サイトをご確認ください。

環境・エネルギー対策資金

低濃度PCBの処分プロセスと手続き

低濃度PCB廃棄物を処分するのに、どのようなプロセスや手続きが必要なのだろう、と疑問に思っている方もいるでしょう。処分にはまず、低濃度PCB廃棄物に該当する電気機器などがないかどうかの確認からする必要があります。

調査の方法は、自家用電気工作物と非自家用電気工作物（低圧コンデンサー）で、それぞれ異なるため、事前に確認しましょう。現在、使用中の電気機器を調査する際は、電気機器の保守・点検を行っている電気主任技術者等に依頼する必要があります。定期点検などの機会に調査してもよいでしょう。

低濃度PCB廃棄物に該当する機器が判明したら分析や処分が必要です。処分は、環境大臣による認定を受けた事業者か、都道府県知事による許可を受けた事業者に委託しましょう。

低濃度PCB処理の煩雑な手続きは認定を受けた事業者へ

オオノ開發株式会社は平成30年3月30日、低濃度PCB廃棄物処理に係る第3次環境大臣認定を取得した会社です。低濃度PCB廃棄物の分析および処理において、ほとんどすべての品目に対応可能。小型機器から大型機器はもちろん、超大型機器も処理できます。

オオノ開發株式会社では、PCB廃棄物を適切かつ迅速に処分できるよう、日本最大規模の保管施設を建設しました。

「低濃度PCB廃棄物の処分のプロセスがよくわからない」という方も、まずはお電話かお問い合わせフォームからお問い合わせください。低濃度PCB廃棄物の分析から、処分の完了まで、ワンストップシステムで処理計画を提案します。

低濃度PCB廃棄物の処理期限と罰則・罰金

PCB廃棄物の処分には期限が定められています。低濃度PCB廃棄物の処理期限はPCB特措法において2027年（令和9年）3月31日までです。これを過ぎると、低濃度PCB廃棄物の処分ができなくなってしまいます。

高濃度PCB廃棄物とは異なり、罰則や罰金はありません。ただし、定められた方法で永久に保管しなければならないというケースも考えられます。低濃度PCB廃棄物は期限内に、適切に処分しましょう。

処理期限以外の罰則

低濃度PCB廃棄物に関しては、保管や譲渡などにおける罰則があります。たとえば業者が違法な処理をしていた場合、委託した事業者にも責任があります。違反とならないような処分方法を選ぶことが大切です。

「保管及び処分の状況の届出」について

PCBに関する届出を行わなかった者、また虚偽の届出をした者は6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金に処されます。

「譲渡し及び譲受けの制限」について

PCB廃棄物の譲渡しおよび譲受けは、原則として禁止されています。違反すると、3年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはこれら2つの刑罰が同時に課されます。

「承継」について

PCB廃棄物の保管事業者、相続や合併、分割によって事業者の地位を承継した場合、承継があった日から30日以内に承継届を提出しなければなりません。届出を行わなかった者、また虚偽の届出をした者は30万円以下の罰金に処されます。

「PCB廃棄物の適正な保管」について

PCB廃棄物の保管に当たっては、廃棄物処理法に基づく「特別管理産業廃棄物保管基準」に従い、飛散・流出・地下浸透・悪臭発⽣の防⽌などを講じなければなりません。違反すると、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはこれら2つの刑罰が同時に課されます。

低濃度PCB廃棄物の処理方法

低濃度PCB廃棄物の処理の方法は、大きくわけて焼却方式と洗浄方式の2種類です。ここで、低濃度PCB廃棄物の処理方法を簡単に紹介します。

焼却処理

低濃度PCB廃棄物を高温で焼却することで、PCBを完全に分解し、無害化するのが焼却処理です。焼却炉の設計は、有害物質が外部に漏れないよう配慮された構造で無ければいけません。燃焼後のガスは冷却され、微粒子を取り除いた上で煙突から排出されます。

大きさや形状によっては直接燃焼が難しい廃棄物もあります。このような場合は、本体を加熱して、PCBをガス化し分離してから処理します。

洗浄処理

低濃度PCB廃棄物は、洗浄によっても処理可能です。

有機溶剤を用いた洗浄処理では、PCBを含む絶縁油を抜き取り、本体や解体した部材を有機溶剤などの洗浄液が入った洗浄槽に入れます。洗浄液を循環させたり、部材を洗浄液に浸けてひたすことで、PCBを除去可能です。
汚染された廃棄物へ、直接有機溶剤などの洗浄液を入れて洗浄する方法もあります。

低濃度PCB廃棄物の処理費用に関するよくある質問

低濃度PCB廃棄物の処理や費用について、まだまだ疑問がある方もいるでしょう。そこでここからは、低濃度PCB廃棄物の処理費用に関するよくある質問にお答えします。

低濃度PCB廃棄物の調査費用はいくらですか？

低濃度PCB廃棄物の調査費用は、ケースによって全く異なるため、調査や分析を含めて見積もりをしなければなりません。廃棄物の量だけでなく、業者によっても費用は変動します。低濃度PCB廃棄物の処理費用には、別途運搬費用も発生することがあるため、念頭に置いておきましょう。

低濃度PCB廃棄物を処分しないとどうなりますか？

低濃度PCB廃棄物の処分を怠ると、環境へ悪影響を与える上、法的な責任も問われます。

PCBは生態系に長期的な害を及ぼす可能性がある化学物質です。これらが環境に放出されると、水や土壌を汚染し、動植物に影響を及ぼすことが知られています。人間の健康にも危険を及ぼす可能性があり、長期間PCBにさらされると、がんや免疫系の問題などを引き起こすリスクも否定できません。

法的な責任の面でいうと、PCB廃棄物を保管している事業者は、保管や処分の状況に関して毎年届け出る必要があります。届け出を怠ったり、虚偽の情報を提供した場合、最大6月の懲役または50万円以下の罰金が科されます。

PCB廃棄物の処分費用は誰が負担するのですか？

PCB廃棄物の処分費用は、一般的にその廃棄物を保管している事業者や所有者が負担します。処分費用には、廃棄物の調査、運搬、処理、最終処分までの全工程が含まれます。

法人だけでなく個人でも同様で、保管者や所有者が処分費用を負担しなければなりません。ただし個人の場合、廃棄物の量が少ないことが多いため、相対的に処理費用も低くなる可能性はあります。

低濃度PCB廃棄物の処分に関しては、日本政策金融公庫が行う融資や公益財団法人 産業廃棄物処理事業振興財団が実施する助成などもあります。困っている方は、各制度の詳細をご確認ください。

環境・エネルギー対策資金（日本政策金融公庫）

PCBに汚染された変圧器の高効率化のための補助金制度（公益財団法人 産業廃棄物処理事業振興財団）

低濃度PCB廃棄物の処理期限を過ぎたらどうなりますか？

低濃度PCB廃棄物の処理期限を過ぎると、廃棄物を自分で永久保管しなければならない可能性が高まります。低濃度PCB廃棄物の保管には、適切な管理が求められるため、長期に渡って負担となるかもしれません。また、保管中に事故や漏洩が発生した場合、企業の評判などに悪影響を及ぼす可能性もあります。

これらの理由から、低濃度PCB廃棄物は2027年（令和9年）3月31日までに適切な処分委託を行うことが極めて重要です。早めに必要な手続きを行いましょう。

低濃度PCB廃棄物の処理は義務ですか？

低濃度PCB廃棄物の処理は法律により義務付けられています。

「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」により、処分期間内に自ら処理するか、他人に処理を委託しなければなりません。処理には、廃棄物の安全な運搬、無害化、最終処分が含まれます。

この義務を適切に履行することで、事業者や個人は単に法的要件を満たすだけでなく、環境に対する責任を果たし、社会全体の福祉に貢献することになります。

まとめ

低濃度PCB廃棄物の処理に関連する費用は、正確には見積もりを依頼しないとわかりません。処理期限は、2027年（令和9年）3月31日までです。これを過ぎると、半永久的に自分で保管しなければならない可能性が高まります。できるだけ早めに処分を行いましょう。

とはいえ「何からやったらいいかわからない」という方は、まずはオオノ開發株式会社へお問い合わせください。

オオノ開發株式会社は環境大臣認定を取得し、日本最大規模の保管・処理施設を有する廃棄物処理会社です。分析から処分完了までの全工程をワンストップシステムでサポートするため、スムーズかつ効率的な処理ができます。

経験豊富な専門家がPCB廃棄物の処理に関する疑問や手続きについてもお答えできるため、処理に関する知識が無くても安心です。

まずは以下のページから、お気軽にお問い合わせください。