PCB廃棄物の処理方法とは?低濃度PCB廃棄物処理の進め方を解説
PCBを含む電気機器やその他のPCB廃棄物を適切に処理することは、事業者にとって重要な責任となっています。
しかし「PCBを含む機器をどのように確認や保管をして、どの手順で処理を進めればよいのか?」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、PCBに汚染された(PCBを含む)廃棄物の処理方法や、必要な届出、管理方法についてわかりやすく解説します。
PCB管理の基礎を学び、安全な廃棄処理に向けた第一歩を踏み出しましょう。
低濃度PCB廃棄物の処理の進め方
PCB(ポリ塩化ビフェニル)は優れた電気絶縁性や耐熱性をもった化学物質で、その有用性からさまざまな用途で利用されていました。30年以上前に製造された電気機器の中には、絶縁油としてPCBが使われていたものがあります。
このようにPCBが利用されていた機器や意図せずにPCB汚染された廃棄物のうち、PCB濃度が0.5mg/kg(=ppm)を超え5,000mg/kg以下のものは低濃度PCB廃棄物に該当します。
低濃度PCB廃棄物はPCB特措法において2027(令和9)年3月31日までに処分しなければなりません。
低濃度PCB廃棄物の処理はどのような流れで行われているのでしょうか?ここでは低濃度PCB廃棄物の処理の流れについて解説します。
①確認をする
低濃度PCB廃棄物の処分期限が過ぎてしまうと、その後の処分は非常に困難です。古い電気機器等を所有している方は、まず施設内の電気設備や倉庫等をすべて点検しましょう。
PCBに汚染されている可能性がある電気機器は下記のとおりです。
- 自家用電気工作物の変圧器
- 電力用コンデンサー
- 電気溶接機、X線照射装置、昇降機、分電盤、モーターなどに付属または内蔵する低圧コンデンサー など
電気機器以外にも、下記のように低濃度PCB廃棄物に該当するものがあります。
- PCBを染料の溶剤に使用した感圧複写紙
- PCBを塗料の可塑剤に使用した鋼製橋梁等の塗膜くず
- 廃油を拭き取ったウエス(雑巾)
- PCB廃油 など
低濃度PCB廃棄物の種類について詳しく知りたい方は下記の記事もご覧ください
PCB汚染物とは?種類や適切な処理方法を徹底解説!低濃度PCB廃棄物処分の注意点も
PCB廃棄物に該当するか否かは、専門業者に依頼して調べる必要があります。
電気機器については製造時期を知ることで判断できる場合もあるため、確認しましょう。出荷時点でPCB汚染の可能性がある電気機器の製造時期は下記のとおりです。
- 絶縁油の交換が可能な変圧器等 :1993(平成5)年以前
- 絶縁油封じ切り機器(コンデンサー等):1990(平成2)年以前
古い電気機器をお持ちの方は、銘板情報等から製造年を確認、もしくはメーカーに問い合わせをしましょう。PCB汚染の可能性が否定できない場合は、絶縁油を採取してPCB濃度を測定する必要があります。絶縁油の採取が個人では難しい場合、専門の分析業者へ依頼をしてください。
②届出・登録
PCBは人体や環境に悪影響を及ぼす物質です。所有している機器がPCBに汚染されていると確認された場合、法律で定められた措置を行わなければなりません。判明した際は、PCB特措法や電気事業法などに基づき適切な届出を行いましょう。
電気事業法に基づく届出
電気事業法は電気設備の安全な運用の確保するための法律です。低濃度PCBを含んだ電気設備の使用状況を把握し、事故を防止する目的を兼ねています。
使っている電気機器が低濃度PCBを含む電気工作物だとわかった場合は、電気事業法に基づいた届出をしなければなりません。電気事業法の電気関係報告規則に基づき、電気機器を設置している場所を管轄する産業保安監督部に届出を行いましょう。
設置者の氏名・住所の変更時、事業場の名称・所在地の変更時、PCB含有電気工作物の廃止時、PCB含有電気工作物による事故等が発生した場合も届出が必要です。
届出様式の詳細については経済産業省の下記のサイトをご確認ください。
PCB特措法に基づく届出
PCB特措法には、PCB廃棄物の適正な廃棄と処理を規制して環境汚染を防ぐ目的があります。
PCB特措法で定められた届出の内容は、主にPCB廃棄物の保管状況や処分状況に関するもので、提出場所は、保管場所を管轄する自治体(都道府県または政令市)です。
届出の時期は、年度末までに発生したものや保管中のものおよび、処分したものの状況を、翌年度の6月末までと定められています。
所有しているすべてのPCB廃棄物の処分が終了した際には、すべての処分終了時から20日以内に届出を行いましょう。
低濃度PCB廃棄物を他人に譲渡することはPCB特措法で原則禁止されており、PCB廃棄物の責任は所有者が担うことが原則です。適切な措置を心がけましょう。
届出様式の詳細については環境省の下記のサイトをご確認ください。
③保管
低濃度PCB廃棄物は有害性が高いため、廃棄物処理法により厳格な保管基準が定められています。保管基準の目的は、環境汚染の防止や人への健康被害の防止のためです。
廃棄物処理法施行規則第8条の13で規定する保管基準は下記の通りです。
- 周囲に囲いがあること
保管場所に他人が立ち入らないようにするため - 見やすい箇所に掲示板を設けること
掲示板は縦横それぞれ60cm以上で必要な項目を記載する - 飛散、流出、地下浸透、悪臭発散を防止する措置を講じること
PCBが外部に漏出しないようにするため - 他のものが混入しないように仕切りを設けるなどの措置を講ずること
他の物質と混ざることで分別が困難になることを防ぐ - 容器に入れ密封するなど揮発防止のために必要な措置を講ずること
揮発によりPCBが漏出することを防ぐ - 高温にさらされないために必要な措置を講ずること
物質の性質の変化を防ぐ - 腐食の防止のために必要な措置を講ずること
廃棄物腐食のによる漏出を防ぐ - 保管事業場ごとに特別管理産業廃棄物管理責任者を置くこと
適切な管理が行われるようにするため
出典:環境省「PCBとは?なぜ処分が必要か?」
④処理委託・運搬
低濃度PCBの処理を委託する場合、環境大臣の認定を受けた無害化処理認定業者または都道府県・政令市の長の許可を得た民間の処理業者でなければなりません。処理業者への委託を検討している方は、許可を受けている業者かどうかを確認しましょう。
低濃度PCB廃棄物のうち、廃電気機器の処理を委託する場合は注意が必要です。専用の設備が備わっていないと廃電気機器の処理はできないため、処理事業者によっては受け入れできない場合があります。
委託する業者が決まり処理を進めることになったら、無害化処理施設へ低濃度PCB廃棄物を運搬しなければなりません。
低濃度PCB廃棄物の運搬にも厳格なルールが定められており、収集運搬業者へ委託の際は、都道府県または政令市の許可を得た収集運搬業者に依頼する必要があります。なお、処理業者によっては収集・運搬と処分を一律で行っているところもあるので、確認してみてください。
無害化処理を行う事業者については環境省の下記のサイトをご確認ください。
低濃度PCB廃棄物処理のご相談はオオノ開發へ
オオノ開發株式会社では、PCB濃度の分析による低濃度PCB廃棄物の発見から、運搬、処理完了まですべての作業が可能です。一連の流れすべてに対応できるからこそ、スムーズな処理計画の提案が行えます。
PCB廃棄物の疑いがある機器を所有している方は、まずはお電話かお問い合わせフォームからお問い合わせください。経験豊富な専門家がPCB廃棄物の処理に関する疑問や手続きについてもお答えできるため、処理に関する知識が無くても安心です。
まずは以下のページから、お気軽にお問い合わせください。
PCB廃棄物の処理方法に関連するよくある質問
PCB廃棄物の処理は法令により厳格に定められた処理方法にしたがって行わなければなりません。低濃度PCB廃棄物を所有している方は内容を把握し、適切に処理を進めるようにしましょう。ここでは、PCB廃棄物の処理方法に関するよくある質問にお答えします。
PCBはどうやって処理するのですか?
PCB廃棄物の処理では、まず前処理としてPCBに汚染された廃棄物を、PCB汚染物である機械部品と廃PCBである絶縁油に分別します。機械部品等にPCBが付着している場合は、溶剤洗浄や真空加熱分離装置等で機械とPCBを分離します。このような処理がPCB処理に必要な前処理です。
その後、回収したPCBは廃棄物に合わせたさまざまな方法で「無害化処理」を行います。
PCBの無害化処理の方法とは?
PCBの無害化処理の方法として一般的なものが、高温で燃焼させてPCBを分解する焼却処理です。
焼却処理以外にも、下記のような方法があります。
- PCBに汚染された機器などを洗浄液で洗浄し、PCBを除去する方法
- 脱塩素化剤が充填された装置に通し脱塩素化分解する方法 など
PCBは高温で処理できますか?
PCBは1,100℃以上の高温で熱分解され、無害となります。
焼却処理の温度が低いと、ダイオキシンが発生するリスクが高まり非常に危険です。以前は1,100℃以上の高温焼却ができる施設が少なく、国内では焼却処理はあまり行われていませんでした。しかし近年は1,100℃以上の高温焼却が可能な施設が作られ、環境へ影響を及ぼすことのない安全な焼却処理が可能になっています。
PCBの適切な処理方法を理解し、早めの対応を!
PCBが含まれている可能性がある古い電気機器等を所有している場合、まずその機器がPCB廃棄物に該当するかどうか確認を行わなければなりません。電気機器の製造時期を調べたり専門業者に依頼してPCBの有無を確認し、PCB廃棄物に該当する場合は適切な措置を講じる必要があります。
低濃度PCB廃棄物の処理期限は2027(令和9)年3月31日までです。処理を進めるにあたり、必要に応じてPCBの含有分析を行ったり、業者の選定や許可の取得などの時間を考慮しなければなりません。処理にかかる期間は最低でも6ヵ月をみるようにしましょう。期限内にすべての処理を終えれるように、処理方法を理解し、計画的に処理を進めることが重要です。
オオノ開發株式会社は環境大臣認定を取得し、日本最大規模の保管・処理施設を有する廃棄物処理会社です。分析から処分完了までの全工程をワンストップシステムでサポートするため、スムーズかつ効率的な処理ができます。
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