PCB廃棄物関連

PCB廃棄の処理技術とは?代表的な方法とそれぞれの特徴を解説

オオノ開發のPCB処理
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PCBを含む廃棄物を適切に処理することは法律で義務付けられていますが、その方法や技術についてご存じでしょうか?

この記事では、PCB廃棄物の処理に利用される処理技術についてわかりやすく解説します。

よく寄せられる質問にも回答しているので、ぜひ参考にしてください。

PCBとは

環境化学センター

PCBとはポリ塩化ビフェニルの略称で、人工的に作られた油状の物質です。熱で分解しにくく、電気絶縁性が高いといった化学的に安定した特徴をもっています。

このような特徴からPCBは、変圧器や高圧コンデンサ、安定器といった電気機器の絶縁油や熱交換器の熱媒体など、さまざまな用途で利用されていました。

広く利用されていたPCBですが、環境汚染や健康被害を引き起こす有毒性が明らかになりました。PCBの危険性を世に知らしめる契機となったのは、1968(昭和43)年に発生したカネミ油症事件です。この事件ではPCBによる深刻な健康被害が起こり、世間を震撼させました。

PCBの危険性が明らかになったため、1972(昭和47)年にPCBの製造は禁止されています。その後、1973(昭和48)年に「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」(化審法)が制定。これに基づき1974(昭和49)年6月からはPCBの製造・輸入・新たな使用が原則禁止となりました。

PCBの人体への影響や使用禁止の経緯について詳しく知りたい方は下記の記事もご覧ください。

PCBの人体への影響と適切な処置方法を解説!PCB廃棄物は早めに処分を

PCBはいつから使用禁止に?期限が迫る低濃度PCB廃棄物の処理はお早めに!

低濃度PCB廃棄物の処理期限は2027年3月31日まで

PCB廃棄物は大きく分けて高濃度PCB廃棄物低濃度PCB廃棄物に分類されます。高濃度PCB廃棄物の処理期限は2023年(令和5年)3月末までで、もうすでに終了しました。

低濃度PCB廃棄物の処理期限は2027年(令和9年)3月31日までです。低濃度PCB廃棄物を所有している方やPCB含有の疑いがある機器をお持ちの方は、早めに処理しましょう。

オオノ開發株式会社は、日本最大規模の保管・処理施設を有する廃棄物処理会社です。分析から処分完了までの全工程をワンストップシステムでサポートするため、スムーズかつ効率的な処理ができます。

経験豊富な専門家がPCB廃棄物の処理に関する疑問や手続きについてもお答えできるため、何から取りかかればいいのかわからないという方にも安心です。

まずは以下のページから、お気軽にお問い合わせください。

お手元にございませんか?低濃度PCB処理廃棄物

PCB処理技術の概要

PCB処理

PCBの処理工程でまず行うのが、PCB廃棄物を機械部品等(PCB汚染物)と絶縁油(廃PCB)に分ける前処理です。

前処理後、機械部品等に付着しているPCBは、溶剤洗浄や真空加熱分離装置などにより分離させなければなりません。ここで分離したPCBと前処理で抜き取った絶縁油(廃PCB)は、脱塩素化分解などの化学的処理技術により無害化します。

PCBを処理して無害化する技術は元々、高温焼却が一般的でした。高温焼却とは1,100℃以上の高温で燃焼させ、その燃焼ガスを焼却炉内で2秒以上滞留させる方法です。

しかし高温焼却は、炉の運転や維持管理が簡単ではありません。また、焼却の処理温度によってはダイオキシン類などの有毒ガスの発生が懸念されます。そのため、処理施設の設置が困難を極めることとなりました。

高温焼却に代わる安全なPCB処理技術として採用されたのが、脱塩素化分解などの化学処理法です。化学処理法であれば、ダイオキシン類などの有毒な副産物の生成を心配せずに済みます。また焼却処理よりも運転管理が容易で、事故時の対応も取りやすい点も特長です。

PCB廃棄物の処理方法

廃棄物処理場

PCB廃棄物の処理にはさまざまな方法が存在します。いずれも安全かつ適切に処理するために、環境省がPCB等処理技術調査検討委員会で評価した上で採用されている技術です。各処理方法の特徴や処理対象物について見ていきましょう。

脱塩素化分解

PCBは、その構造の中に多くの塩素原子を持っており、この塩素原子がPCBの安定性や耐久性を高め、有害性の原因にもなっています。脱塩素分解はPCB分子中の塩素原子を水素等に置き換え、PCB以外の物質に変化させる方法です。

脱塩素化分解にもさまざまな方法があります。代表的なものがアルカリ触媒分解法(BCD法)です。

アルカリ触媒分解法では、PCBを含む絶縁油に、アルカリと反応を促進させる添加剤を加え、約300~320℃に加熱してPCBを無害化します。加熱する際は火災防止のため、窒素を充満させた状況下で行わなければなりません。

国内の電力会社が設置・運営している絶縁油リサイクルセンターでは、アルカリ触媒分解法によってPCBを含む絶縁油の処理を実施。処理した絶縁油のPCB濃度が基準値以下であることを確認した上で、リサイクル油として出荷しています。

廃PCB等廃油廃酸廃アルカリの処理に脱塩素化分解が有効です。

水熱酸化分解

水熱酸化分解とは、高温高圧の水を使ってPCBを分解する方法です。水熱酸化分解には「超臨界水酸化法」と「熱水分解法」があります。

超臨界水とは、臨界点(374℃・218気圧)を超えた状態の水のこと。超臨界水によってPCBを二酸化炭素と水、塩化水素(塩酸)に分解する方法が、超臨界水酸化法です。

熱水分解法では超臨界状態の手前の段階にある水を使います。これに水酸化ナトリウムを加え、脱塩素化と酸化反応により、PCBを水・食塩・二酸化炭素に分解します。

水熱酸化分解は廃PCB紙くず木くず繊維くず廃プラ廃油廃酸廃アルカリなど幅広いPCB汚染物や処理物に採用されている方法です。

プラズマ溶融分解

プラズマ中にPCBを噴霧して、PCBを分解させる方法をプラズマ溶融分解といいます。プラズマとは、気体が非常に高温になり、電子と原子核に分離して電気を帯びた状態になったものです。

プラズマを発生させるためにはアルゴンガスなどの不活性ガスに高電圧をかけます。そこにPCBを細かい霧状にして噴霧。高温のプラズマと接触したPCBは、化学結合が切断され炭酸ガス、水、塩化水素、水素などに分解されます。

プラズマ溶融分解は、廃PCB廃油廃酸廃アルカリの処理に採用されています。

焼却

焼却は、1,100℃以上の高温でPCBを焼却して分解する方法です。焼却処理では排出ガス中の有害物質の適切な処理が欠かせません。1,100℃の高温で焼却したPCBは、ダイオキシン類などの有毒ガスを生成することなくほぼ完全に分解できます

焼却は廃PCB紙くず木くず繊維くず廃プラスチック類廃油廃酸廃アルカリなど幅広いPCB廃棄物に用いられます。

オオノ開發株式会社では、PCB廃棄物の無害化処理を焼却にて行います。大型シャトルキルン、トンネルキルン含めた日本最大規模の設備にて最大約140t/日の処分が可能です。

洗浄

高圧トランスやコンデンサなどのPCB汚染物の処理は、機器と絶縁油(廃PCB)を分けるだけでは終わりません。機器にはPCBが付着していたり、染み込んでいるからです。

そのためPCBに汚染された機器は解体後、各部材を溶剤によって洗浄する処理を行います。

洗浄処理で使う溶剤はトリクロロエチレンやテトラクロロエチレンなどです。溶剤との化学反応を利用して、PCBを分解し無害化します

洗浄は紙くず木くず繊維くず廃プラスチック類金属くず陶磁器くずなどのPCB汚染物やPCB処理物に用いられています。

※PCB処理物…廃PCB等およびPCB汚染物の処分後、PCB濃度が基準値(0.5ppm未満)を満たしていない廃棄物のこと

PCBの処理方法や技術に関連するよくある質問

Q&A

PCB処理にはさまざまな方法が用いられていることがわかりました。しかし、PCBの処理方法や技術についてまだ疑問が残る方も多いのではないでしょうか。ここからは、PCBの処理方法や技術に関連するよくある質問についてお答えします。

PCBの処理代金はいくらですか?

低濃度PCB廃棄物の処理費用は、PCB濃度や廃棄物の種類、重量、処理方法、処理施設などケースによってさまざまです。正確な費用は、調査や分析を含めて見積もりをしなければわかりません

低濃度PCB廃棄物の処理費用には、別途運搬費用も発生する場合もあります。処理費用は業者によっても差があるため、複数の業者の見積もりが欠かせません。

見積もりを依頼する際は、該当機器の重量やサイズ、保管先の住所などの指定された情報が必要なので、確認しておきましょう。

PCBの処理費用経緯について詳しく知りたい方は下記の記事もご覧ください。

低濃度PCB廃棄物の処理費用の相場はいくら?処理方法とともに解説

低濃度PCBの処理方法は?

低濃度PCB廃棄物の処理は環境大臣が認定する無害化処理認定施設および都道府県知事等が許可する施設で行う必要があります。PCB廃棄物の疑いがある機器を所有している方は、処理前に低濃度PCB廃棄物に該当するかの調査も欠かせません。低濃度PCB廃棄物に該当した場合は、許可を受けた業者に処理を依頼するなど、適切な処理を計画しましょう。

また、低濃度PCB廃棄物だと判明したあとは速やかな届け出や適切な管理が求められます。

PCBに汚染された(PCBを含む)廃棄物の処理方法や、必要な届出、管理方法を知りたい方は下記の記事もご覧ください。

PCB廃棄物の処理方法とは?低濃度PCB廃棄物処理の進め方を解説

PCB廃棄物は所有者の責任ですか?

PCB廃棄物の責任の所在はPCB特別措置法において明確に定められており、責任は所有者にあります

PCB廃棄物の所有者は、安全な保管と適切な処理を行う義務があり、廃棄物の譲渡は原則として禁止です。

建築物の解体などで所有者とは別の人物がPCB廃棄物を発見した場合も、発見した工事業者は建物所有者へ報告しなければなりません。PCB廃棄物の所有者が適切な措置を講じましょう。

低濃度PCB廃棄物の処理はお早めに!

オオノ開發PCB建屋外観

PCBはその有用性からさまざまな用途で利用されていました。しかし人体や環境への悪影響が明らかとなり、現在では製造や使用が禁止されています。PCB廃棄物の処理責任は所有者にあり、期限内の処理が欠かせません。

PCBの処理方法には脱塩素化分解や水熱酸化分解など、PCB等処理技術調査検討委員会において評価されたさまざまな方法が実践で使われています。

高濃度PCB廃棄物の処理期限は2023年(令和5年)3月末までで、もうすでに終了しました。低濃度PCB廃棄物の処理期限は2027年(令和9年)3月31日までです。処理期限が迫るにつれて、廃棄物処理業者の確保が困難になる可能性もあるため、低濃度PCB廃棄物の所有者は早めの対応が求められます。

オオノ開發株式会社環境大臣認定を取得し、日本最大規模の保管・処理施設を有する廃棄物処理会社です。分析から処分完了までの全工程をワンストップシステムでサポートするため、スムーズかつ効率的な処理ができます。

経験豊富な専門家がPCB廃棄物の処理に関する疑問や手続きについてもお答えできるため、処理に関する知識が無くても安心です。見積もり依頼は無料なので、まずはお問い合わせフォームかお電話でご相談ください。

詳しくは以下のページから、お気軽にお問い合わせください。

お手元にございませんか?低濃度PCB処理廃棄物

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